ハラボテ蟹

朝から少し不穏な風が吹いて晴れたり曇ったり。
台風の影響でしょうか。
今日は一日ジャガイモ掘り。
一昨年の20%もないかもしれないけど、掘り起こす土の量はかわらないので
なかなかの重労働です。
この程度の収量なら来年からもう少し沢山植えてもいいかもしれませんが
お盆休みに芋掘りの手伝いに遊びに来てくれる人がいれば、ですね。
年に何度も握らないクワのせいで右手の皮がむけました。
土の中にこんなものがいるんですね。

今週も宗さんはtupliを弾いてくれていました。

ラッカー・セラック 塗装あれこれ

昨日、セラックやラッカーについての質問がございましたので、わかる範囲で改めて。
ラッカーという言葉はセラックを語源とした、一液性の塗料の総称という認識ですが
ギターの世界でラッカーと言った場合、ニトロセルロース系の塗料を指します。
セルロースというくらいですから、元々は植物性の物なのでしょうし、
ニトロというのですからNとかOとかがくっついているのでしょうが、有機化学の人に聞いてください。
tupliで使用しているラッカーは最近増えつつある、キシレン、トルエンなどの有害物質を溶媒としていない物ではありますが、やはり危険物4類の揮発・可燃性の溶媒にニトロセルロース(的な?)樹脂を溶かした
液体で、溶剤にはシンナーを使います。
ご家庭にあるものとして、マニキュアの除光液で塗装が溶けるほか
消しゴム等のラッカー対応と記されていないゴム製品と反応して塗膜がやられます。
吹きつけによる塗装が一般的で、tupliでは写真のようなガンを使っています。

セラック(シェラック)はラックカイガラムシという生物の分泌物を精製した物で
いつからかは知りませんが昔ながらの塗料です。
人体に無害で溶媒はアルコールです。
高級クラシックギターやバイオリンなどの塗料として使われている他
チョコボールや甘栗の光沢材、医薬品のコーティングにも使われていると聞きます。
溶媒がアルコールなので、度数の高いお酒をこぼすと、塗装がベトベトになりますので
酒飲みのギターには向かないと思います。
昔ながらの塗装法ということで、いまでもタンポ塗りが好まれているようです。
精製度合いによっても色は違いますが、基本的に褐色なのでドイツ松でも黄色くなります。
大量生産ギター(特にクラシック)でわざわざトップを黄色く塗っているものは、
セラック塗装による色のイメージが消費者に根強い為と思われます。

写真左がセラックで、フレーク状です。
それをアルコールに溶かして溶液とするのですが、無水エタノールは高価なので、
メタノール・エタノール混合液を使っています。アルコールランプで使用する燃料です。
この溶液を写真右のタンポに染み込ませて、ギターに塗っていきます。
タンポはワタを布でくるんだだけのものです。

この他、ギターでは、ポリウレタン、ポリエステルなどの主剤と硬化剤からなる2液性塗料が使われます。また、最近のテイラーのように、紫外線硬化型の塗料も使われるようになりました。
これらは、短時間で分厚く硬く綺麗な塗面が作れるので、大量生産の世界では好まれています。
昨日のコメントに、「鏡面仕上げというキレイな塗装が求められるのはギターと車くらい」と書きましたが
大切なものを忘れていました。
漆職人はおそらく最も塗装技術の高い世界です。