便所掃除のうた

おばあちゃんとトイレの歌が流行っているようでラジオでよくかかる。
その歌を聞いて僕は寅さんの一場面を思い出した。
大好きな場面の一つ。
マドンナ(伊藤蘭)が定時制高校を受験する。
そこに寅次郎が出入りする。そこで行われていた国語の授業・・・

扉を開けます
頭の芯まで臭くなります
まともに見ることはできません
澄んだ夜明けの空気も臭くします
掃除がいっぺんに厭になります
ムカつくようなババグソがかけてあります
 「どうだ。これが何の詩だかわかるか?
  ムカつくようなババグソ、つまりウンコのことだ。
  これはなぁ、国鉄の労働者が駅の便所を掃除する時の気持ちをうたった詩なんだ。
  駅の汚い便所を想像しながら聞いてみろ」
どうして落ち着いてしてくれないのでしょう
ケツの穴でも曲がっているのでしょう
それともよっぽどあわてたのでしょう
唇をかみしめ 戸のサンに足をかけます
静かに水を流します
ババグソにおそるおそる箒を当てます
ボトンボトン便つぼに落ちます
乾いたクソはなかなか取れません
タワシに砂をつけます
手を突き入れてみがきます
汚水が顔にかかります
唇にもつきます
そんなことに構っていられません
ゴシゴシ美しくするのが目的です
朝風がつぼから顔をなで上げます
心もクソに慣れてきます
水を流します
ぞうきんでふきます
金隠しの裏まで丁寧にふきます
もう一度水をかけます
クレゾール液をまきます
白い乳液から新鮮な一瞬が流れます
 「こうやってなぁ、汚い便器をピカピカに磨き上げた時この人は
  自分の心まできれいになった気持ちがして
  最後にこんな言葉でこの詩を結んでいるんだよ。
  よく聞けよ。」
便所を美しくする娘は美しい子供を産むと言っていた母を思い出します
僕は男です
美しい妻に会えるかもしれません
(「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」より)

「便所掃除のうた」への2件のフィードバック

  1. 私もこの詩大好きです。元伯父さんの村松達夫さんの先生役もいいです。この詩が知りたくて土曜日の寅さんを録画しているようなものです。

  2. >米蔵さんさん
    土曜日に寅さんやってるんですか。さてはBSでしょうか。
    私はあと1話借りてくればコンプリートなのですが、多分見たことあるんですよね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください