蔵王のイモリと山元への衣類

今日ボイラーの修理に来てくれて、水が使えるようになった。
破裂していたパイプは水を抜く為の部分で破裂したままで構わないと言う。
16000円也。
プロパンのガスがどれほど残っているのか分からないけど
とりあえずライフラインが整って、ずいぶん楽になった。
明日はたまった洗濯だ。
同じ町内の木工製作家が訪ねてくれて、
水が出ないから温泉行ってきた、と笑った。
水が出ない理由は、どうやら水が止まっていた間に水道管にイモリが詰まった、というから
これは手ごわい。
洗濯ならウチでしてくれればいい。
作業場の片付けぐらいなら手伝える。
山元町のブルースマンの水没したギターを預かることになっていて
彼がギターを持ってくるのに合わせて、山元に届けられる物資を調達しようと
連絡を回している。
東京の友人が物資を持って宮城に来てくれる。
仙台の友人が全国から衣類を集めている。
中古の服はどんなにきれいでも行政が扱ってくれないから。
(http://talleyrand666.blog60.fc2.com/)
みんな個人で動いているので出来る事は少量ずつ。
それでもこういった行動をみんながやればモノは届いていく。
山元の彼に何が必要か聞いてみた。
「なんもいらない!全部ある!」
「でっかいトラックでドーンって届いて、避難所のユニフォームみたいにみんなおんなじの着てるよ!」
個人の物があっても置くところも無い。
だからギターを預けに来る。
だからと言って全て事足りているはずがなかった。
さらに、避難所ではなく自宅にいる人には一切物資が届いていない。
「そんなはずないでしょう?何か言ってくださいよ。」
「そうねぇ。土地。土地と家がほしいな。ムリだよね。」
返事が出来ない。
どこからどこまでが自分の土地という正確なことはもうわからない。
住所という概念すら津波はさらっていったのか。
沿岸域の地盤沈下でそもそも海になってしまった土地がどれほどあるのか。
何坪持っていた、という事実はなくならないわけだが、今後それはどうなるのか。
聞けるはずが無かった。
「タバコかな。」
これだけ聞き出して、僕の方の満足を得て電話を切った。
今後、仮設住宅に入ったら、それこそ各々の財力で格差が生じる。
かといって仕事も、会社ごと波にのまれた人が大勢いる。
当の僕は財力もガソリンもなく、ただ電話をしてみんなが頑張っているのを
見守っているだけである。
これから、その仙台の友人が山元町に届ける衣類やお菓子を持って
ウチまで来てくれると言う。
古着ならオシャレな物もあるかもしれない。