震災ギター

早朝、東京の友人が来てくれて
蔵王経由 山元行き 第一弾の物資がそろった。
みんな行動が早い。

僕は朝から鼻水が止まらない。
非日常のホコリを吸ったせいだろうか。
風邪がぶりっかえしたろうか。
これだから都会っ子は弱いと言われてしまう。
洗濯をしながら、じっと横になって過ごしていた。
夕方、その山元町の人が来て、泥まみれのギターとケース、3本を預かった。
ギブソンは掃除されていたものの、中にもヘドロが詰まって
力木、ブリッジ、トップの一部がはがれており
全面に塗装クラックがびっしり入っていた。

地震の時とその直後の壮絶な経験を語ってくれた。
数枚の写真から想像することしか出来ないが、
僕の想像力ではまるでわからなかった。
スペースがないせいだろうか、
彼は遠慮がちにコートを一枚とタバコ、それから誰かにあげるといって
わずかなお菓子だけ持って帰っていった。
火無しで食べられる物がいい、と言っていた。
火をおこすと自警団に注意されると、火事が怖いと言っていた。
数百人いる避難所には僕らの支援なんてかえって争いの元になるだけなのかも知れない。