父に会いに

11月の連休で実家に帰ろうと予定していたのだが、その頃には自信がないからと急遽招集がかかった。父が弱気になっている。
3ヵ月前まで何事もなく普通に過ごしていたのだけれど、7月末に体調不良で受診してから検査入院が続いて、その後自宅療養となった。肝硬変、そして食道静脈瘤、肝癌。手の施しようがないと。この1か月で17-8kg体重が落ちたらしい。ここ最近は食欲もなくすぐ疲れてしまうのだとか。声を出すのも辛そうだった。ずっと腎臓の不調で通院していたのに、医者は何をやっていたんだという憤りももう過去の話になってしまったみたいだ。

一緒に近所を散歩し、昔どこに行ったといった思い出話をしてきた。筑波山、男体山、室堂、尾瀬、一ノ倉沢、ニューヨーク、ベルギー、フランス、トルコ etc.
早朝の窓からの景色を見るとグラナダを思い出さないかって俺は行っていないよ。
今思えば山でも海外でも父と一緒だと安心感があったなと思う。

50年以上前に父のために祖母が仕立てた着物が当時の行李に入れられ大切に保管されていてそれを受け継いだ。俺の小学生の頃のサッカークラブのユニフォームや小学生で作った靴入れ、刺しゅう入りの枕カバーやエプロンなんかも綺麗に保管されていて、勝手に捨てられないからと渡された。実家に置きっぱなしの俺のガラクタはそのうち持ち帰ってこないといけないんだな。今となってはちょっと貴重な物もあるかもしれない。綺麗なままのテレホンカードとか、未使用のドラクエのノートとか、皿の間からユーロ以前のベルギーの紙幣が出てきたり、理学部の駐車場のパスカードが出てきてあぁこんなとこにって驚いた。
サッカーのユニフォーム、今7か月の息子が着れるようになったら着せて見てもらおう。