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東京生まれ千葉育ち、蔵王町在住のギター製作家。 ベルボトムジーンズが標準スタイル。

作業場掃除に着手

車も電信柱もぐわんぐわん揺れて地震と間違うほどの強風の中
大河原まで買出しに行ってきた。
国道沿いはさほど被害が無い様にも見えたし、
心なしか街が老けたようにも見えて、所々更地になっているのが気になった。
ホームセンターはいたって平然と営業されていたが
天井は無惨にもぐさぐさだった。
店頭にカセットボンベが山積みされていた。
ひとつ4000円クラスの湯呑みが軒並み壊れたので
ひとつ400円台の湯飲みをいくつか仕入れ、
壊れた窓用にベニア板を調達した。
ガソリンスタンドはそれほど並ばずに給油できるようだったが
レギュラー160円超えしているところもあった。
まだまだガソリンは節約運転である。
155円をうたっていた村田のスタンドで満タンにできたけど
「洗車ですか、水が出ないのでまだダメなんです。」と。
昨日、潮の引ききっていない被災地をジャブジャブ走ったらしいから洗車したかった。
大河原で入れればよかった。
作業場一階の掃除がほぼ終わり、窓をふさいだ。
窓をふさいでも割れた石壁や新たに出来た隙間からの風が冷たい。
二階の塗装ブースだが、どうやったらこう壊れるのか
屋根が飛び上がったか重たいブースを相当斜めにしたのか・・・。
ブースの一部を解体して修理しなければなるまい。

花見論

花見をすべきではないとか、権力で抑制すべきではないとか
政治家がもめているけれども
被災者からしたら遠くで見知らぬ誰かが花見をしようがしまいが
はっきり言ってどうでもいい。
ドンチャン騒ぎをしろ、とは言わないけれども
やらなかったよ、と言われてもうれしくもない。
電力消費が気になるなら夜桜をやめればいいのだけれど
それだって東電の問題で東北電力とは関係ない。
気を使ってほしいのは、ブログなどで発信する人。
ほんの少し配慮していただきたい。
もし、花見をしたいのだけれど周りの目が気になるとか、
被災地に後ろめたさを感じるのであれば
例えばこんなのはどうだろう?
ある居酒屋マスターがガンで入退院をしていた頃
僕らがその店でやった遊び。TVのパクリ。
英語や敬語を禁止して罰金100円徴収する。
その貯まった罰金はそっくりカンパとして寄付をする。
「同胞の痛みを分かち合う」などと精神論を述べるより
現金の方が復興には力になるかもしれないよ。

また熱

時折ブログを見るたびに風邪を引いていると、先日言われたばかりだが
今日も熱を出して寝ていた。
頻繁にプールに通っている頃は風邪などひかなかったのに。
心労?
37度台まで下がったので明日には大丈夫だろう。
昨日の物資のうち、服以外のものを友人が石巻へ届けてくれた。
僕の車に携行缶からガソリンを足して、僕の車を使って。
自分の足で行きたかったが、熱でふらふらしたヤツなんて邪魔なだけだ。
ましてや物見遊山で行く場所などでは決して無い。
写真をいくつか見せてもらった。
大量のがれき、どこまでも続くがれき、おかの上に船があり、ガソリンスタンドの中に家がもぐりこんでいる。
小中学生が仕切って物資を集配していたらしい。
頼もしい限り。

震災ギター

早朝、東京の友人が来てくれて
蔵王経由 山元行き 第一弾の物資がそろった。
みんな行動が早い。

僕は朝から鼻水が止まらない。
非日常のホコリを吸ったせいだろうか。
風邪がぶりっかえしたろうか。
これだから都会っ子は弱いと言われてしまう。
洗濯をしながら、じっと横になって過ごしていた。
夕方、その山元町の人が来て、泥まみれのギターとケース、3本を預かった。
ギブソンは掃除されていたものの、中にもヘドロが詰まって
力木、ブリッジ、トップの一部がはがれており
全面に塗装クラックがびっしり入っていた。

地震の時とその直後の壮絶な経験を語ってくれた。
数枚の写真から想像することしか出来ないが、
僕の想像力ではまるでわからなかった。
スペースがないせいだろうか、
彼は遠慮がちにコートを一枚とタバコ、それから誰かにあげるといって
わずかなお菓子だけ持って帰っていった。
火無しで食べられる物がいい、と言っていた。
火をおこすと自警団に注意されると、火事が怖いと言っていた。
数百人いる避難所には僕らの支援なんてかえって争いの元になるだけなのかも知れない。

蔵王のイモリと山元への衣類

今日ボイラーの修理に来てくれて、水が使えるようになった。
破裂していたパイプは水を抜く為の部分で破裂したままで構わないと言う。
16000円也。
プロパンのガスがどれほど残っているのか分からないけど
とりあえずライフラインが整って、ずいぶん楽になった。
明日はたまった洗濯だ。
同じ町内の木工製作家が訪ねてくれて、
水が出ないから温泉行ってきた、と笑った。
水が出ない理由は、どうやら水が止まっていた間に水道管にイモリが詰まった、というから
これは手ごわい。
洗濯ならウチでしてくれればいい。
作業場の片付けぐらいなら手伝える。
山元町のブルースマンの水没したギターを預かることになっていて
彼がギターを持ってくるのに合わせて、山元に届けられる物資を調達しようと
連絡を回している。
東京の友人が物資を持って宮城に来てくれる。
仙台の友人が全国から衣類を集めている。
中古の服はどんなにきれいでも行政が扱ってくれないから。
(http://talleyrand666.blog60.fc2.com/)
みんな個人で動いているので出来る事は少量ずつ。
それでもこういった行動をみんながやればモノは届いていく。
山元の彼に何が必要か聞いてみた。
「なんもいらない!全部ある!」
「でっかいトラックでドーンって届いて、避難所のユニフォームみたいにみんなおんなじの着てるよ!」
個人の物があっても置くところも無い。
だからギターを預けに来る。
だからと言って全て事足りているはずがなかった。
さらに、避難所ではなく自宅にいる人には一切物資が届いていない。
「そんなはずないでしょう?何か言ってくださいよ。」
「そうねぇ。土地。土地と家がほしいな。ムリだよね。」
返事が出来ない。
どこからどこまでが自分の土地という正確なことはもうわからない。
住所という概念すら津波はさらっていったのか。
沿岸域の地盤沈下でそもそも海になってしまった土地がどれほどあるのか。
何坪持っていた、という事実はなくならないわけだが、今後それはどうなるのか。
聞けるはずが無かった。
「タバコかな。」
これだけ聞き出して、僕の方の満足を得て電話を切った。
今後、仮設住宅に入ったら、それこそ各々の財力で格差が生じる。
かといって仕事も、会社ごと波にのまれた人が大勢いる。
当の僕は財力もガソリンもなく、ただ電話をしてみんなが頑張っているのを
見守っているだけである。
これから、その仙台の友人が山元町に届ける衣類やお菓子を持って
ウチまで来てくれると言う。
古着ならオシャレな物もあるかもしれない。

とっかんこうじ

サッカーのチャリティマッチがすばらしかったようで。
twitterで様子を見てたけど、カズダンス見逃したのはイタイ。
さて、今日はちょっとした修理。
落ちかけた天井板に釘を打ち、ホゾのはずれた梁を支える。
それでも襖は動かない。ムリに動かそうとしたら既に壊れていた。そのままにした。

その勢いで古びたネコを引っ張り出して、タイヤの交換。
緑色だったはずなのに茶色い。
さらに、絶対付かないと言われたのに捨てるならともらっておいた自転車の荷台を強引に取り付け。
かなりムリがあったし、水平じゃないけど、カゴ乗っけてゴムで留めれば色々運べるようになる。
早急に必要ってわけじゃないけど。

掃除をしていたはずなのに、ついつい作業工具を握っていた。
これらの作業を通して、ひっくり返っていたバンドソーとボール盤が
無傷とは言えないけれどちゃんと使える事を確認できた。

被災地のココロ

居間を大々的に掃除。
全ての物を他に移動しての掃除はさながら引越しのよう。

一つ、照明が点かなくなっていた所は、差込口が壊れていたので
ホームセンターへ行き、代わりになるパーツに取替えて修理。
居間の機能が回復した。
これで土足で歩かないで済む。
一部で壁が無いのは最後に何かしようと思う。
明日は、居住域でホゾのはずれている梁の応急処置をしなければ。
そろそろ地域によって温度差が出始めている、というのは多方面から聞く話。
日常に戻れる人、はじめから日常が犯されていない人は、日常を続ければいいと思う。
それを見て安心感に似た様な、現状を忘れるような、救いになる事もある。
でも、その明るい日常が疎ましく、ねたましく感じる瞬間があって、今は見たくないと感じるのも事実。
「良かったね、東北はまだまだ悲惨だぜ」って言いたくなる。
「自粛」がかえって嫌味に映ることもある。
被災地のココロは複雑に揺れている。
被災地の中でもそれぞれ状況が違って、
例えば、ウチが「赤紙貼られて作業場なんか大変なんだよ」、なんて言ったとしても
「こっちは家が流されたけどね」って思っている人がいるはずで
それぞれがそれぞれの一生懸命で頑張っている。
被災地のココロは複雑に揺れている。
僕なんかよりずっと大変な状況の人の、信じられないほどの明るい声を聞いて
強がっているわけではないだろうか?
僕は失礼な事を言ってはいないだろうか?
どんなトーンで話すのがいいのだろうか?
卑怯な僕は話に集中できない。

湯屋

これまで気づかなかったけど、作業場2階の東端、
一階の破損して傾いた壁の影響で、床が少し持ち上がってる。
持ち上がった結果、床の端にだけ傾斜がついている。
プロトラクターで見ると、ちょうど1度の傾斜。まずいよねぇ。

今朝、早起きしてすいている時間に風呂に行こうかと思ったんだけど
外の雪景色を見て毛布を頭までかぶりなおした。
夕方やっぱりと思って、混んでいるのを覚悟して鎌倉温泉へ。
宮城に帰って初めての、5日ぶりの風呂は贅沢にもほとんど貸切の温泉!
そろそろ出ようという時に入ってきた人が
「やっとすきましたねぇ」って。
脱衣場を出る頃、ぞろぞろ人が入ってきた。
つくづく運がいい。
車で2分の距離に温泉がある事の恩恵をこれでもか、と味わった。
シャンプーやボディソープがほとんど空になっていたので差し入れしたいぐらいだ。
この風呂が無ければきっと心が折れている。

片付け開始。

作業場からベニヤ板の下に落ちていたラジカセを救出。
居間でラジオを流していると、仕事をしている時の気分を取り戻した。
比較的被害の少なかった台所の掃除を完了した。
それから、ひっくり返ったCDラックを起こし
倒れにくい細工を施したところで日が傾いて
今日の作業が終了。
何しろ、居間と台所以外の1階は照明器具がすでにない。
照明器具どころか、コンセントの差込口すら、ちぎれて無いんだもんなぁ。

ナットキングコールのCD Boxが壊滅的被害。

赤紙

今日は地域コーディネーター最終日。
夕方まで晴れるというので、気張ってチャリで出かけたら
途中で本降りの雪、で、止んでいたのに帰りは雨。
数年分を被曝したと思われ。
ございんホールの皆さま、学校の先生方には色々お世話になりました。
知り合いも増え、裏道も覚え、珍しい経験もさせてもらいました。
明日から、概ね無職、として家の片付けを頑張ります。
帰ってきたら、張り紙がありました。
建設課の答えはNOだそうです。
(罹災・被災届けはなぜ総務課?)

「入るな危険」と言われても、他に行く当てもなし、
それほど危険を感じてもなし。揺れない限り。
法的拘束力もなし。
建設課は地震前を知らんのですよ。
ただ、修理は必要だという事が確実で。そんな予算はありませんよ。
国の「被害に応じて所得税を減免」とかいう案、今年の私の申告の結果、所得税ゼロなので無意味。
結局お金持ちほど優遇されるというお粗末さ。
こんなボロの我が家と工房です。
さぞかしヤキモキしていたことでしょう。大変お待たせいたしました、ご報告。
製作中のギター、二台とも全くの無傷で健在でし!!